従来とはまったく違う発想の、シニア向け住宅をつくる
この3年間のことを振り返ると、本当に「怒涛」と表現するのがふさわしいような気がします。新会社である野村不動産ウェルネス株式会社の設立準備がはじまった2014年の時点では、テーマであったシニア事業でどんな商品・サービスにするか、何から始めるべきかまったく決まっておらず、まさにゼロからのスタートでした。
ひとまず、150を超える高齢者住宅・施設の調査と介護資格(介護職員初任者研修)の取得を通じて、実際に現場で起こっていることを把握することから始めました。徐々に見えてきたのは、シニア住宅の大半が、高齢者人口の6%程度の重度介護認定者を対象にしており、約90%強を占める介護認定を受けていない自立高齢者や軽度介護認定者がなおざりになっている事実。
また現状の介護保険制度上、介護度が高くなった方が事業者も利用者も収入が大きくなるため、介護度を改善するインセンティブが働きにくい現状になっています。ただ、高齢者本人も家族も真に願うのは、介護にならずに健康のまま老後を迎えることであり、また健康寿命が延びることは社会保障費(医療・介護費)の抑制にもつながる大義のあることだと考えました。
そこで、逆転の発想で、当社は健康寿命を延伸し、介護にならないことを目指す、健康増進型シニア住宅の事業展開を行うことにしました。既存のやり方にメスを入れ、本当に意義のあることは何なんかを、徹底的に考え抜き、導いた答えでした。