Episode 01
先進国の直面する大きな
社会課題と真っ向から向きあう。

この国の未来に、
確かな豊かさを灯すために。
田代 雅之
住宅事業本部 シニア事業部
2006年入社

入社以降、不動産ファンド事業、オフィスビル事業、コーポレートのリスクマネジメントなど、さまざまなセクターで働いてきたが、振り返ると すべての経験がいまのシニア向け住宅・サービスの開発に活きていると感じている。自らが主導して立ち上げた「オウカス」ブランドを筆頭に、2025年までに40棟5000戸のシニア向け住宅の供給を目指し、日本の未来に確かな豊かさを灯すために。

※所属部署はインタビュー取材当時のものになります。

従来とはまったく違う発想の、シニア向け住宅をつくる

この3年間のことを振り返ると、本当に「怒涛」と表現するのがふさわしいような気がします。新会社である野村不動産ウェルネス株式会社の設立準備がはじまった2014年の時点では、テーマであったシニア事業でどんな商品・サービスにするか、何から始めるべきかまったく決まっておらず、まさにゼロからのスタートでした。

ひとまず、150を超える高齢者住宅・施設の調査と介護資格(介護職員初任者研修)の取得を通じて、実際に現場で起こっていることを把握することから始めました。徐々に見えてきたのは、シニア住宅の大半が、高齢者人口の6%程度の重度介護認定者を対象にしており、約90%強を占める介護認定を受けていない自立高齢者や軽度介護認定者がなおざりになっている事実。

また現状の介護保険制度上、介護度が高くなった方が事業者も利用者も収入が大きくなるため、介護度を改善するインセンティブが働きにくい現状になっています。ただ、高齢者本人も家族も真に願うのは、介護にならずに健康のまま老後を迎えることであり、また健康寿命が延びることは社会保障費(医療・介護費)の抑制にもつながる大義のあることだと考えました。

そこで、逆転の発想で、当社は健康寿命を延伸し、介護にならないことを目指す、健康増進型シニア住宅の事業展開を行うことにしました。既存のやり方にメスを入れ、本当に意義のあることは何なんかを、徹底的に考え抜き、導いた答えでした。

デベロッパーとして、この国が抱える課題を解決したい

この健康増進型シニア住宅のブランド名は、人生を謳歌し、生き生きした明日を実現する住まいを目指すことから、「謳歌(OUKA)する明日(ASU)」で「OUKAS(オウカス)」と名付けました。

オウカスの特徴は、①誰もが歩いて活動できる「街づくり」と②カラダとココロの健康を届ける「健康維持・増進」です。①では都市部で交通生活利便の高いエリアの用地を取得することで高齢者が外出したくなる環境を用意、②では運動プログラムの提供や管理栄養士監修の美味しい食事の提供、楽しく仲間や家族と時間が過ごせる共用部やイベント活動を実施するなどの商品企画としました。つまり、高齢者=静かなところでゆっくりと、とイメージではなく、より健康的でアクティブな生活の場を提供するといった、常識を覆すものです。

社内はもとより、社外にも参考となる物件がない中で、経営層とは何度も議論を戦わせました。タフな日々を乗り越えられたのは、より多くの高齢者に健康であり続けるサービスを提供したいという想いと、超高齢社会に伴い直面している社会保障費の増大という課題に対し、デベロッパーという立場で解決したいと思ったから。本社他部門やグループ会社、時には社外の人たちに助けられながら、一歩一歩前進する日々でした。

会社をつくり、ブランドをつくり、自分の価値をつくり続ける

オウカス第一弾となる「オウカス船橋」の商品企画を進めるかたわらで、私は野村不動産ウェルネスの経営戦略や事業モデルの策定、新たな事業用地の取得・開発、介護事業者のM&Aによる事業領域の拡大など、幅広い分野を担当し、さらなる成長に向かって、日々邁進しています。

ゼロから1を作り出す怒涛の毎日の中にも、「オウカス船橋」が2017年10月にようやく開業できたことや、通常他社の契約ペースの3倍超のスピードで契約が進むなど反響を呼んでいることに、達成感を感じています。もともとオウカス事業のように介護保険に頼らない事業は成功しない、と他社から言われ続けてきたので、それに負けない事業モデルを貫けたことに、この事業の価値とやりがいがある。最近、強く実感しています。

船橋に続くオウカスシリーズとして第4棟目まで事業化が決定しています。当面の目標はこの事業を野村不動産の確固たる事業になるよう創り上げること。それが先進国の直面する社会課題への一つの答えになると信じています。私の挑戦は、まだ始まったばかりです。